
インタビュー
中部電力を選んだ理由
大学では化学を専攻していましたが、地元愛知県で「多くの人の日常生活に関われる」ことを軸に、化学の分野にこだわらず就職活動をしました。IT部門はすべての社内システムを担当していたので、発電から送配電、販売に至るまで広範囲な事業全般に関わりサポートできる点が魅力でした。大学生の4年間よりも就職後の40年間の方が長いので、情報系出身でなくても不安はなく、ゼロからITスキルを身につけていけることにワクワクしていたのを覚えています。
部門別採用をおこなっていたことも決め手の一つです。会社のさまざまな事業に携われるところに魅力を感じていたIT部門に確実に配属されることは、描いているキャリアプランを実現するために欠かせないと考えていました。
あとは性別に関係なく活躍できる環境が整っていたこと。制度が整っている企業は他にも多くありましたが、中部電力は選考中に多くの女性社員に会って話すことができ、制度がしっかり運用されていることが確かめられました。この安心感も大きかったです。
初任配属部署での仕事内容
私が配属された当時は、2015年以降の電力システム改革に向けた大規模なシステム改修が行われていました。大学では化学を専攻し、ITはまったく専門外の私。研修ではITの基礎知識を身につけましたが、いざ実践では業務の理解が必要で、周囲で飛び交う言葉が一体何を意味しているかもわからない状態です。動作確認のテストを任されましたが、システムのどの部分をどう確認するのか、どんな場面で利用されるのかさっぱりわかりません。言われるままテストをおこないましたが、自分が何をやっているのかちゃんと理解できるようになったのはそれから数ヶ月先のこと。入社後は指導担当の先輩に都度聞きながら、言葉の意味や業務の流れを覚えていきました。
そんなある日、システム障害が発生しました。このままでは、お客さまに電気料金をお知らせする帳票の送付ができません。メンバー総動員で対応してどうにか事なきを得たのですが、自分が担当しているシステムが想像していた以上に多くの人々に影響することを改めて認識しました。それまでは日々の業務に追われるばかりだった私も、この出来事以来、一つ一つの業務の意味を確かめながら確実に取り組むようになりました。
現在の部署での仕事内容
5年目以降は社内のDX推進に携わっています。私たちは、経営資源であるデータをフル活用し、データに基づいた業務の変革を目指しています。具体的には、さまざまなデータの取得、蓄積、加工、公開を通じて、全社員が必要なときに社内外の必要なデータにアクセスできるしくみを構築しています。これにより、各部署の業務効率化や全体コストの最適化を実現しています。
よく使われるデータとしては、電力の発電量や需要予測に利用されるものが多いですが、電力取引価格の推移、地域を跨いで融通された電力量、全国各地の気象情報や地域データ、さらには株価のような財務データなど、幅広いデータを利活用できるシステムを目指しています。
各部署の要望を取り入れながら、外部ベンダーとともに仕様を具体化していきますが、そのほとんどが初めての試みです。開発からリリースまで迅速にPDCAを回していくことが重要で、意思決定もとても早いです。一般的なインフラ企業のシステム構築のイメージとは少し違うかもしれません。

仕事のやりがい、成長を感じるポイント
社内で利用するシステムは、機能面やコスト面が最優先になってしまうため、デザイン面を軽視してしまいがちです。しかし、利用者にとって直感的で、見やすく、使いやすいデザインは、業務効率化や誤操作の防止につながるのではないかと考えた私たちは、UX(ユーザーエクスペリエンス)デザイナーにプロジェクトに参加してもらうことにしました。デザイナーと何度も議論を重ねた結果、最終的に仕上がったトップページは見違えるほど変わっていました。利用者である社員の皆からも「見た目がかっこよくなった!使いやすくなった!」と大好評。自分たちが作ったものが反響を呼び、社内に波及していく様子を目の当たりにできるのは大きなやりがいです。
入社から5年が経ち、IT素人だった私も多くの方たちとさまざまな業務を経験する中で、社内の業務変革に役立つITスキルを身につけられたことはとても大きな成長だと感じています。
今後挑戦したいこと
この先は、新たなDXの取り組みをさらに推進するため、実業務への適用方法を提案していくフェーズに移ります。
最近取り組んでいるのが、AIを活用したベテラン層のノウハウ継承です。今後、労働人口が減少していく中で、少ない人手で事業を維持するためには、人財の育成や技術の継承が必要不可欠です。そこで、ベテラン社員の知見をAIに学習させ、若手社員をサポートするツールの開発を試みています。例えば、工事の細かい規制や手順について知りたい時、若手社員が膨大な資料の中から情報を探し出すのは大変です。AIが先輩社員に代わって疑問や質問に答えられるようになれば、従来は先輩に一から確認していたことが自分で解決できるようになります。
私自身、もともとITの素人だった頃の感覚を忘れず、ツール利用時に感じる心理的な抵抗を改善しながら、会社全体に良い影響を及ぼすデジタルを活用した業務変革に積極的に挑んでいきたいと考えています。
相関図

※掲載社員の仕事内容・所属部署は取材当時のものです。