
インタビュー
中部電力を選んだ理由
大学で建築学を学んできたので、もちろん就活ではその知見を生かせる仕事を探しましたが、就活を通して、一つの仕事を極めていくスタイルよりも、幅広い業務を通じて多様な経験ができる仕事に携わっていきたいと思うようになりました。そのため、建設業界に絞らず幅広い業界を検討しました。
その過程で出会ったのが中部電力※です。暮らしに欠かせない電気を届けるために、ここまで多くの建物が必要なのかと驚きましたし、当然のことながらその一つ一つの建物が重要な役割を担っています。さらにこれらの建物について計画から廃止まで建物の一生をプロデュースすることができるだけでなく、構造・設備・法規など多岐に渡る専門知識と建築技術を持つ“インハウスエンジニア”として成長できる環境に心惹かれました。
また、施主の立場として多くの関係者を巻き込みプロジェクトを進めることにも魅力を感じました。優れた建物づくりには良好なコミュニケーションが不可欠のため、皆でより良いものをつくっていけるよう私も挑戦していきたいと強く思いました。
初任配属部署での仕事内容
静岡県にある数百の既存建物の維持管理が社会人となった私の初めての仕事です。右も左も分からない入社1年目から、建物・空調・電気設備などの改修工事や修繕工事、突発的な設備故障対応なども主担当として経験しました。もちろん上司や周囲の同僚にも支えてもらいましたが、多くの壁にぶつかりながら仕事の基礎が身につけられた時期です。
今でも鮮明に覚えているのは、想定外の設備トラブルで停電してしまった事業場の復旧工事を任されたことです。一刻も早い設備復旧が求められる中、真っ暗闇を懐中電灯で照らしながら原因追及と復旧計画の立案をおこなっていたのですが、なんといってもまだ入社2年目のルーキーです。このとき助けとなったのは未熟ながらにも現場で培った周囲の方々とのつながりでした。事業場で働く方も、工事に協力してくださった関係会社の方も、多くの方と面識があったこともあり、皆さまの多大な協力のおかげで円滑な設備復旧になんとかこぎつけることができ、日頃からのコミュニケーションの大切さを改めて実感する瞬間となりました。
現在の部署での仕事内容
入社3年目以降は、超高圧変電所の新築工事に携わっています。超高圧変電所は15.4万V以上の超高圧の電気を扱う変電所で、所内の重要機器を守る建物は国の定める法律に基づくだけでなく、当社独自の基準によって強固でレジリエンス性の高い設計が要求される施設です。
現在、私は主に設計業務を担当しており、関係者と建物の仕様を詰めながら協力会社とともに詳細設計をおこなっています。工事が始まれば現場の工事管理も私の業務範囲です。規定通りにおこなわれているかの品質管理や、現場における安全管理だけでなく、円滑に工事を進めるために、効率化の工夫を凝らす必要があります。建築技術も日々発展してきており、最近ではICT技術を用いた品質管理に取り組んでいます。品質管理には現場に赴いての確認や、現場担当者との対面での議論は必要不可欠ではありますが、距離の離れた現場で必ずしも現地現物での確認を要しない場合、ビデオ通話やウェアラブルカメラなどを用いた遠隔検査を導入することにより効率的な工事管理もおこなっています。

仕事のやりがい、成長を感じるポイント
意匠だけ、構造だけ、設備だけなど特定の分野に特化してしまうと、専門外の部分との関係性が見えにくくなりますが、今の仕事ではそのすべてを満遍なく網羅した上で、より良い建物の実現を目指すことができます。入社してから少なからず経験していった「快適で使い勝手のよい執務環境となっているか」「設備保守しやすい構造となっているか」などの大小問わずさまざまな気づきを、次の建物に盛り込んでいくことが今の仕事のやりがいになっています。自社で持つ多種多様な建物について計画から廃止まで長期間にわたり建物の一生をプロデュースすることができ、建築のゼネラリストとして成長できることは、やはり中部電力パワーグリッドの建築部門ならではの魅力だと思います。
そして、建物を計画するときに、常に目指しているのは「安全・安価で良質な建物」であることです。安定供給に関わる建物の安全性は担保しつつ、より安価な建物の実現はお客さまへより安価に電気をお届けすることにつながりますので、常に最善を目指さなければと身が引き締まる思いです。
今後挑戦したいこと
建設地も違えば建物諸元といった設計条件も違うので、同じ超高圧変電所でも二つと同じ建物は存在しません。つまり建物に正解はなく、マニュアル化もできないということです。さらに近年は建物内に入る主要機器なども技術革新が進んでおり、最新機器の採用となれば経済性・保守性・安全性などさまざまな観点を踏まえつつ、それに合わせた最適なレイアウトをその都度詳細に検討していく必要があります。そのため、今後は従来の設計に囚われない柔軟な発想で、良いところは残しつつ、変えるべきところはしっかり変えていく、そうした主体性と提案力をより高めていきたいです。
ただ、建物の姿がどのように変わっても、まず念頭に置くのは電力の安定供給と働く人の働きやすさの実現です。その軸だけは決して揺らぐことなく、更なる付加価値を生み出していけるよう取り組んでいきたいです。また、当社で活躍するインハウスエンジニアとして成長した先の夢として、建物が地域とより密接につながり新たな価値を創り出すようなプロジェクトにも果敢に挑戦していくつもりです。
相関図

※掲載社員の仕事内容・所属部署は取材当時のものです。