
インタビュー
中部電力を選んだ理由
2年生の頃、大学のプログラムでタイに行ったときのこと。都市部の経済発展はめざましく、かつての途上国の面影はもうありませんでした。しかし、街外れに足を踏み入れると、道路などのインフラは未整備のまま。切れた電線が道路に垂れ下がり、いつ人が触れてもおかしくない危険な状況でした。この時、日本で毎日使っている電力が実は当たり前にあるものではなく、誰かの手によって守られ、届けられていることに改めて気づかされました。
そのため帰国後の私は「卒業後は地元の社会インフラを支える仕事につきたい」と中部電力※のインターンシップに参加。その他にもさまざまなインフラ系企業のインターンに参加しましたが、中部電力の雰囲気が一番自分にあっていると感じました。私たち学生に対して皆さま親切でしたし、社員同士も楽しそうに働いていて、全体的にとても和やかなムードだったからです。他社は良くも悪くもビジネスライクな印象でしたので、この人たちとこの職場で働きたいと思えたことが中部電力を志望した大きな理由です。
初任配属部署での仕事内容
配属先は岐阜電力センターの変電課。初年度は設備の保全業務を担当しました。変電所の巡視や修繕などが主な業務で、先輩からの教えは「五感で異常を察知しろ」というもの。電気系の装置から出るジジジジという音や、メカニカルな機構から出るカタカタという作動音、油漏れの匂い、機器の温度や振動など、まさに五感をフル稼働させて、ささいな変化を見逃さず、故障や事故を未然に防いでいく仕事です。
変電所は街中にもあれば、山の中にもあります。巡視には大きなワンボックスカーで出かけるのですが、「道を覚えたい、運転に慣れたい」と私が運転することに。先輩は助手席で優しくフォローしてくれましたが、当時の私は免許取りたての初心者マークで、細く曲がりくねる山道を手に汗を握り運転したことを思い出します。修繕工事で故障箇所を確認するためにダクトの中に潜り込むと、びっくりするくらいの蜘蛛の巣が…。あまり経験したことのない作業環境に、戸惑いと苦労の連続でした。
現在の部署での仕事内容
現在は設備機器の評価業務を担当しています。導入を予定している変圧器などの機器について、当社が定める基準や求める性能を満たしているかどうかをチェックする役割です。変圧器は設置してから数十年に渡り使用するため、信頼性は特に重要なチェックポイントです。雷が落ちた場合の対策など、万が一に備えさまざまな試験データ・研究データを収集しながら導入可否を判断していきます。
過去に例のない新しい機器の評価を担当することもあります。その⼀つが、環境に配慮した新しい変圧器への置き換えです。変圧器の中は冷却と絶縁のために「油」で満たされているのですが、この油を現⾏の鉱油から⾃然由来の菜種油に変えた新しい変圧器の導入を検討しています。⼤きな変圧器になるとプール1杯ほどの⼤量の油が使われており、この変圧器の導⼊が実現すれば油の廃棄時にかかる環境負荷を⼤きく低減できます。まだ技術的にクリアしなければいけない課題が多く、毎日のようにメーカーと試行錯誤を繰り返し全力で取り組んでいます。

仕事のやりがい、成長を感じるポイント
最新の設備開発をするメーカーと、近い距離で働けることは面白みの一つです。まだ誰も知らない新機能をいち早く知れますし、私がメーカーと会社との架け橋となって新しい設備導入を実現させていくのですから、やっぱり張り合いがあります。
また、保守のときの経験から「メンテナンス時の使い勝手を考えると、扉の位置を変えた方がいいと思います。」などの助言をメーカーさんに伝えると非常に喜ばれます。メーカー自身は、納入先でどのように使われているか知る機会が少ないからだそうです。
より良い設備開発に繋がればと思い、メーカーの方々を変電所見学にお連れすることもあります。「なるほど、こんな風に運用されるわけですか。」「何十年も前の製品なのに、こんなにきれいに使っていただいて…」といった驚きや発見につながることも。逆に私たちがメーカーの工場に出かけて、製造時の品質管理に問題がないかを確認しにいくこともあります。とにかく知らないことを知れる機会が多くて、新しい物好きの私としては楽しみが多い仕事です。
今後挑戦したいこと
優れた設備の導入を図り、現場の作業環境改善や、環境負荷低減に貢献していくことです。近年はIoT技術の進化により遠隔監視が普及しつつあります。現場を訪問する頻度を減らすことができれば、保守担当者の負担も減りますので、こうした取り組みをさらに押し進めていきたいです。
あとは先ほども触れましたが、環境配慮型の変圧器導入の実現です。現状だと一定期間使用した油は燃やすなどの廃棄処理がおこなわれ、その際には当然CO2が出ます。そこで植物由来の油への転換とともに、油のリサイクルの可能性について検討が始まっています。
それというのも実は、既に⼩型変圧器の油については⼀部国内でリサイクルが始まっているのです。私たちが扱う⼤型変圧器にも転⽤できる可能性を模索しながら、メーカーとともに⼆⼈三脚で⾰新的な技術開発を実現させ、環境⾯・コスト⾯で会社に貢献していきたいです。
相関図

※掲載社員の仕事内容・所属部署は取材当時のものです。