佐野 絵莉子

中部電力パワーグリッド株式会社
本社 系統運用部 系統システム開発グループ

佐野 絵莉子

2018年入社 自然科学研究科 電子情報科学専攻

学生時代の専攻分野

システム制御工学の研究室に所属。太陽光発電に対して、余剰電力を水の電気分解によって水素エネルギーとして貯蔵する技術の効率化を目指した研究をおこなった。

CAREER PASS

  • 1年目

    長野電力センター 変電課

    変圧器や遮断器・開閉器といった変電設備の機能低下、不良箇所の発見・予測など、故障を未然に防止するために巡視・点検、巡視結果より必要に応じて補修⼯事などをおこなう保守業務に従事する。設備の基礎知識を学ぶ。
  • 2年目

    長野給電制御所 指令制御課

    電力系統の監視・指令操作をおこなう系統運⽤業務を担当する。系統操作のための操作⼿順票の作成や、電力設備の故障などにより停電があった際には、停電復旧操作を実施し、変電・送電設備の安全な操作、迅速な停電解消に貢献した。
  • 4年目

    中部電力株式会社
    マネジメントサービス本部 ITシステムセンター 需給・CISグループ

    中部電力エリアの総需要、発電機・変圧器・送電線ごとの電力量などの各種の記録の集約や気象情報の収集など、系統運⽤をおこなうための⽀援システムの保守を担当する。新規機能の追加改修をおこない、系統運用者の利便性向上に貢献した。
  • 6年目

    系統運用部 系統システム開発グループ

    次の時代を⽀える中央給電指令所システムの開発プロジェクトに参画、全国の一般送配電事業者と共に中央給電指令所システムの統合を⽬指し、調整会議などでファシリテーターを務める。これまでの変電設備保守、系統運用、システム保守の経験を活かし、最適なシステム仕様の構築に取り組む。
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インタビュー

インタビュー

中部電力を選んだ理由

中部電力※との出会いは夏期インターンシップです。電⼒の安定供給に向けた責任感ややりがい、技術向上への熱い思いを語ってくれる先輩⽅の姿がとても印象的でした。特に⼼に残ったのは、新しい技術に対する挑戦⼼です。安定供給という使命を果たすためには、設備を増強したり、過去に実績のあるシステムを導入したりすることが確実な⽅法と考えがちです。もちろんそれも⼤切ですが、中部電⼒※からはそれだけでなく、新しい技術を積極的に取り⼊れることで使命を果たそうという強い意欲を感じました。この会社であればチャレンジを重ねながら⾃⾝を成⻑させることができ、なおかつそのことが電⼒業界や社会全体への貢献につながっていくと考え、⼊社を決めました。

※現:中部電力パワーグリッド株式会社

初任配属部署での仕事内容

変電所を巡視し、設備の細部にいたるまで異常やその予兆がないかを確認する保守業務に携わりました。確認に⽤いるのはそれぞれの設備に設置されている計測機器に加えて、⾒た⽬や⾳、匂いなども含めた五感すべて。先輩に同⾏してもらいながら変電設備の基礎知識を学んだ時期です。当社ではOJTに加えて集合研修や作業マニュアルなどが充実しているため、⼊社時には変電設備の知識がまったくなかった私もしっかりと知識を⾝につけることができました。先輩たちがとてもやさしく、何でも質問しやすい環境を整えていてくれたことも、仕事を学ぶうえでとてもありがたかったです。
設備の補修⼯事などは協⼒会社に委託します。私は作業管理者として、⼯事の進捗や安全を管理する役割を担当しました。このとき⼼がけた事は、協⼒会社の⽅としっかりとコミュニケーションを図ることです。そうすることで思い込みによる作業ミスを回避し、事故や停電などのトラブルを防ぐことができます。また、設備を熟知した協力会社の⽅々から⼯事のポイントなどを聞かせてもらうことができ、知識の習得にも繋がりました。

現在の部署での仕事内容

電気は需要と供給のバランスが崩れると周波数が乱れ、最悪の場合は停電が起こってしまいます。そうならないように需要と供給のバランスを秒単位で監視し、発電量を制御します。そのコントロールタワーのような役割を担うのが系統運⽤部⾨の中央給電指令所です。
現在、中央給電指令所が業務に使⽤する専⽤のシステムを次の世代のものに更新するにあたり、全国の一般送配電事業者が⽤いるシステムの統合を目指すという、世界でも例を見ない画期的なプロジェクトが進められています。私はメンバーの⼀員として、会議でファシリテーターを務めています。各社の意⾒を聞きながら本当に必要な機能の絞り込みなどをし、仕様の調整をおこなうことが私の主な役割です。
システムの仕様を改良することで、国全体で発電機を経済的に運転することが可能となり、国全体での火力燃料費の最小化の他、中央給電指令所の業務効率化が図れ、電力の安定供給を維持するために必要なコストの低減が可能となります。その結果、電気料⾦の値下げが可能になります。それを全国規模でおこなうというのが、私たちが取り組んでいるプロジェクトです。

インタビュー

仕事のやりがい、成長を感じるポイント

中央給電指令所をはじめとした系統運⽤部⾨が⽤いるシステムは、電⼒の安定供給に直接的な影響を与えます。もし不具合などが起こってしまうと、電気の利⽤者であるお客さまの⽣活や仕事に多⼤なご迷惑をかけてしまうほか、安定供給という同じ⽬標と使命に向けて努⼒している仲間の業務にも⽀障をきたしてしまいます。そうならないように細かな仕様まで徹底して調整することは⼤変ではありますが、社会に貢献できているというやりがいを実感できる仕事でもあります。
私は学⽣時代、どちらかといえば⾃分の研究だけに没頭して視野が狭くなるタイプでした。しかし、次の世代の中央給電指令所システムの仕様調整に向けた会議でファシリテーターを務めることで、多⾯的な視点で物事を⾒つめ、そのうえで合理的に判断するという⼒が養われました。また、期限がある中で全課題を解決するための計画力や、メンバー間で役割を割り振ったり進捗を管理したりすることで、会議の参加者全員の力を最大限に引き出すための力が⾝についたのも、ファシリテーターを務めたおかげです。

今後挑戦したいこと

先輩たちは課題に対して、周囲の意見を柔軟に聞き入れつつ、⾃分なりの軸を持ちながら判断して⾏動している⽅が多いです。私もそういった⼈になりたいです。そのためにはまず、設備やシステム、そして電⼒にまつわるさまざまな制度について、今以上にしっかりとした知識を⾝につける必要があると感じています。また、受⾝の姿勢で成⻑のチャンスを待つのではなく、⾃分からチャンスをつかみにいくチャレンジ精神を持ち続けていたいと考えています。
電⼒をめぐっては社会のニーズが多様化し、法律をはじめとした制度も複雑化しています。ベテラン世代の技術者の退職が進む⼀⽅で、若⼿が不⾜するという課題もあります。そのような状況においても安定して電⼒を供給し続けるために、データの活⽤やAIといった新しい技術の活⽤に取り組み、また他の電⼒会社とも協働しながら、制御システムの全体最適化と系統運⽤業務のさらなる効率化に挑戦していきます。さらに、制御システムに加え、他部門も含めた中部電力パワーグリッド全体のシステムをより良いものにすることで、電力業界全体の発展に貢献することにも挑戦していきます。

相関図

相関図

※掲載社員の仕事内容・所属部署は取材当時のものです。