
インタビュー
中部電力を選んだ理由
⼤学での研究を活かすため、就活の対象は⾃動⾞関連メーカーや電機メーカーが中⼼でした。その後、数社から内定をいただいた状態で終盤戦に突⼊。どこの企業もそれぞれに魅⼒があったものの、これという決め⼿がなく迷っていた頃、中部電⼒※の見学会に呼ばれました。それほど志望度は⾼くありませんでしたが、「⾏ってみるか」という何気ない決断が私の将来を変えることになったのです。
和やかな席で聞いたのは、東⽇本⼤震災の電⼒復旧に駆けつけたときの経験談。地中に埋め込まれたガスや⽔道の復旧が難航する中、津波ですべて流された⼟地に次々と電柱が⽴っていく様⼦と、電⼒が戻り被災者の皆さまが喜ぶ姿が今も忘れられないといいます。「⾯⽩い仕事は世の中にたくさんあるけど、うちのように「かっこいい仕事」ができる会社ってそんなにないんじゃないかな」と語る課⻑さんの⾔葉が頭から離れず、見学会からの帰り道、電話で内定を承諾する旨を伝えました。中部電⼒※で働く⼤学の先輩から「いい会社だよ」と聞いていたことも、背中を押してくれました。
初任配属部署での仕事内容
新⼈の私に与えられた業務は停電作業時の指令業務でした。配電関連の設備を更新する⼯事には、⼀時的に⼀部エリアの電気を⽌めておこなわなければならないものもあります。こうした⼯事には配電線路の切替操作が伴うため、事前の検討および当日の切替指令をおこないました。停電⼯事にはもう⼀種類あって、それが災害などによる突発的な停電時の復旧作業です。落雷や積雪などによって配電設備が損傷した場合に、停電状況を調査した上で原因調査の計画を⽴案し、現場への復旧指令にあたりました。⼀刻を争うため24時間いつでも呼び出されればすぐに対応しなければなりません。美容院でパーマをかけているときに呼び出されたときは、さすがに先輩に対応をお願いしました(笑)。
⼯事が⻑期化することもあり、夜通しの作業で疲労困憊の私が「30分だけ仮眠をとります」と上司に告げて、3時間後に⽬を覚ましたことも…。苦労の連続ではありましたが、皆懸命に「1秒でも早く電気を!」という情熱で働いていますので、⾮常に濃密な時間でしたし、無事復旧した際の達成感は他では味わったことがないほど⼤きなものでした。
現在の部署での仕事内容
現在は2026年からの導⼊を予定している「次世代スマートメーター」の開発に携わっています。ガス・水道メーターを含むIoT機器の接続拡大や、現在30分刻みで計測されている電⼒使⽤量を5分刻みにすることで、さらなる安定供給とコストダウンを実現といったことが可能になります。
幅広い開発テーマが並⾏して進む中、私は主に通信機能の開発を担当。既存のメーターからのデータ移⾏はどのような⼿順でおこなうのか、何らかの要因で通信が取れなくなった際に別の中継ルートをいかに確保するのかなど、お客さまに近い配電部⾨からの視点を製品およびシステムの仕様に反映していく役割です。
これらの機能検討においては、社内の別部⾨はもちろん、社外の⼀般送配電事業者やITベンダーの方々とも話し合いながら仕様の調整をおこなっていきます。常に課題は⼭積みですが、⾃分の仕事の影響範囲の⼤きさも実感できるので、やりがいをもって取り組めています。

仕事のやりがい、成長を感じるポイント
停電工事などの業務では、既存の手順に則り正しく運用していくことが基本でした。しかし現在の部署は、新機能を実装するためのさまざまなアイデアについて検討したり、関係各部署に「どうしたらもっと使いやすくなりますか?」とヒアリングした結果を盛り込んだりしながら、より良い次世代製品をつくり込んでいくというスタイルの業務です。新しいものを自分の手で生み出していく楽しさとワクワク感は、これまでになかったものです。
その一方で、新しい機能を導入しようと思うと、次から次に予想外の問題が発生します。たくさんの人が関わっていくシステムですので、どうしても「あちらを立てればこちらが立たず」といった事態を避けることができず、調整が難航することもしばしばあります。大学時代はひとりコツコツ研究に取り組む日々でしたが、こうした現場でたくさんの人たちと関わりあい揉まれるうちに、難しい交渉をまとめる力が鍛えられている実感があります。
今後挑戦したいこと
2023年から各⼾の電⼒データの推移からご⾼齢の⽅のフレイル(※)を検知する⾒守りサービスの提供が始まるなど、スマートメーターが秘めているポテンシャルはまだまだあります。
再⽣可能エネルギーや電気⾃動⾞(EV)などの普及に伴い、電⼒を取り巻く環境は加速度的に変化しています。例えば、これまでは発電所から変電所を経由して、各家庭へと向かう電気の流れは、川の流れのように川上から川下へ流れていました。しかし現在、その常識は過去のものとなっています。太陽光パネルなどの川下からの電⼒供給や、EVを含む蓄電池システムの普及も始まっているためです。
刻々と変わる電⼒の使⽤状況、発電状況をリアルタイムで監視し、需給バランスの調整を⾃動で制御していく。そんな災害に強く、無駄のない電⼒供給ができる未来に、今私たちが開発しているスマートメーターがキーデバイスとなるはずです。最新テクノロジーと地域社会の動向なども視野に⼊れながら、より良い電⼒供給を実現するために、今後さらに幅広い知⾒を⾝につけていきたいと考えています。
※加齢による衰弱のこと。ここでは一人暮らしの方が外出しにくくなるなど第三者の介助が必要な状態を指す。
相関図

※掲載社員の仕事内容・所属部署は取材当時のものです。