
インタビュー
中部電力を選んだ理由
大学生のとき、国際ボランティアでフィリピンに行きました。手洗い習慣を根付かせるなど、子どもたちの公衆衛生意識を向上させるための訪問でしたが、私が驚いたのは頻繁に停電していたことです。都心部ではなく郊外の町に滞在したので、夜ともなれば完全に真っ暗。照明も何も使えません。このときに初めて「電気って当たり前にあるものじゃないんだな」というありがたみを感じました。
やがて迎えた就職活動。どういう業界・会社なら、やりがいをもって長く働けるのかと考えたときに思い出したのが、フィリピンでの夜でした。暮らしに欠かせない電気を扱うことで、広く世の中を支えていく仕事であれば、辛いことがあっても乗り越えられるのではないか。そう考えて中部電力に入社しました。
また、就活で東京を訪問した際、たまたま通勤ラッシュに巻き込まれたのですが、これが想像をはるかに超えた混雑具合で…。自分にとっては東京よりも地元である中部地域の方が合っていると痛感しましたね。地元名古屋で働こうと決めたのには、こうした理由もありました。
これまでの仕事と身についたスキル・価値観
はじめての仕事は、営業所でお客さまに電気をお届けするために電気工事店と工事日程などを調整する業務を経験しました。当初は「ぶっきらぼうな人が多いな」と感じましたが、仕事を続けるうちに打ち解けていき、異動時には「いなくなっちゃうの?寂しくなるね」とおっしゃっていただけるほど親しくなりました。丁寧に対応することを心掛けていましたが、この経験から、相手と良好な関係性を築くコミュニケーションスキルを得られました。
その後、電力取引をおこなう部署に異動。「スポット市場」と呼ばれる電力市場を舞台に、翌日に供給される電力を売買する業務を担当しました。入札締め切りの前日に、どれだけの量を売買するのかというプランをチームメンバーで相談して決めるのですが、配属当初は本当に何もわからない状態。先輩たちの会話に「?」が浮かぶばかりでした。それでも、昨年の同時期の価格や翌日の気候、電気のご使用量が多いお客さまの操業状況など市場の動きを読み取る術を学びながら、少しずつ自分の入札案が採用されるように。数億円という大金が動くので毎回ドキドキしますが、予測が的中した際の喜びは一入であり、トレーダーのようなやりがいもある仕事だと思います。市場取引には、電力需給に関する多くの事柄を総合的に勘案するとともに、作成した入札案を上司やメンバーに理解・同意してもらう必要があるため、論理的思考力と説明スキルが身につきました。
現在の部署での仕事内容
現在は翌年度・翌々年度を見据えて、どの事業者からどれだけ受電すれば最も経済的かといった計画を立てる業務についています。当然のことながら、電力市場を年スパンで見通すのは容易ではありません。そのため確実なプランを立て収益を最大化するというよりも、蓋然性の高いシナリオを複数手元に持ち、常にあらゆる可能性に対応できるように備えるといった色合いが強い業務です。
また、社外関係者と需給計画について話し合うことも我々の役割です。やはり電力というのは公共性の高い商品ですから、その取引が公正におこなわれているか、もし改める必要があるのならどこをどう変えればいいかを常に模索しています。そのため経済産業省などの公的機関からヒアリングを受けたり、逆に中部電力ミライズとして改善点を提案したり、電力取引のあるべき姿に近づくよう連携・協力していくことも重要な責務の一つです。

今後の目標、挑戦したいこと
電力小売全面自由化以降、電力取引を取り巻く環境は目まぐるしく変化を続けていて、現在もキャッチアップが追いつかないほどの制度変更が予定されています。例えば新しい電力取引市場が開設されれば、商品ラインナップが拡充し、調達および販売の選択肢が増えます。そうした動きをいち早く察知し、最適な対応策を導き出していくことが今後のカギになるはずです。資源エネルギー庁、電力広域的運営推進機関、送配電網協議会など公的機関でおこなわれている議論の情報を毎日追い続け、その背景を読み取りながら、より安価で低リスクな需給計画を策定していきたいと考えています。
中部電力グループを見渡しても、需給計画グループは特に業務の新陳代謝が激しい部門だと思います。毎年のように制度変更があり、それに伴う業務フローの見直しも絶えずおこなってきました。常に新しいことにチャレンジしている環境ですから、その分野では社内で第一人者になれる可能性だってあります。どう成果を出していくかのアプローチは基本自由。より良い需給計画を策定するため、今後もチャレンジを続けていきたいと思います。
相関図

※掲載社員の仕事内容・所属部署は取材当時のものです。