[ PROJECT 03 ]

地域やお客さまとともに
新たな価値の創出に挑む。
「次の当たり前」をつくるのは、
私たちだ。

大きな転換期を迎えているエネルギー業界。中部電力はこれをチャンスと捉え、成長が見込まれる新市場への積極的な進出を図っています。その核ともいえるのが、2019年に新設された事業創造本部です。プロジェクトに参加するメンバーたちは、試行錯誤の向こう側にどんな未来を描いているのでしょうか。

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PROJECT MEMBER

  • 多田 尚矢
    • 中部電力株式会社 本店 事業創造本部

    多田 尚矢

    • 2009年入社
    • 情報科学部 地域情報科学科 卒業
  • 上原 めぐみ
    • 中部電力株式会社 本店 事業創造本部

    上原 めぐみ

    • 2010年入社
    • システム情報工学研究科
    • コンピューターサイエンス専攻 修了
  • 篠田 龍太
    • 中部電力株式会社 本店 事業創造本部

    篠田 龍太朗

    • 2014年入社
    • 経営学部 国際経営学科 卒業
  • 酒井 宏奈
    • 中部電力株式会社 本店 事業創造本部

    酒井 宏奈

    • 2015年入社
    • 商学部 商学科 卒業
  • 井ノ尾 徳哉
    • 中部電力株式会社 本店 事業創造本部

    井ノ尾 徳哉

    • 2017年入社
    • 法学部 法律・政治学科 卒業
STORY 01 STORY 01
STORY 01

新たなコミュニティの形を創造し、
社会課題の解決に挑む。

「中部電力、2019年4月1日付で事業創造本部を設置」

そんなプレスリリースが発信されたのは2018年末のこと。変革期を迎えているエネルギー業界を象徴する取り組みのひとつとして、さまざまなメディアで取り上げられた。長らく「安定」のイメージで語られてきた業界に、激しいうねりが押し寄せることになった要因は大きく分けて3つ。1つ目は電力小売の全面自由化や送配電部門の分社化など電気事業の制度改革。2つ目は地球温暖化を踏まえた再生可能エネルギーの普及など世界規模での低炭素社会へのシフト。そして、3つ目は少子高齢化などによる社会構造の変化やデジタル化にともなう消費者ニーズの変化だ。高品質な電力を安定して届け続けるという電気事業者の社会的使命に変わりはないが、これまでと同じ取り組みを続けていてはいつか立ち行かなくなる。

そして、中部電力は考えた。「自分たちにしか生み出せない新しい価値は何か?」その答えが「コミュニティサポートインフラ」構想だ。たとえば、各戸に普及しているスマートメーターをベースとした家庭と地域をつなぐ電力ネットワークと情報通信ネットワークの融合。そして、これらのネットワークを活用した地域全体でのエネルギーの最適化、安心で安全な生活を支えるIoTサービスの創出。「低炭素化」「デジタル化」「お客さま起点」をキーワードに、新たなコミュニティの形を創造することで、さまざまな社会課題を解決していく、事業創造本部はこの構想を実現するべく新設された。

スタートメンバーは主に社内公募によって集められた。

「もともと地域の生活の質を高めるような新しいサービス、新しいコミュニティのあり方に関心があったんです。自分にも何かできないかと考えていたタイミングだったので、迷わず手を挙げました」(篠田)

「入社後、これからもずっと中部電力がお客さまから選ばれ続けるために自分に何ができるかを考えていました。事業創造本部の話を聞いた時に『これだ!』と思いました」(酒井)

「入社前から地方経済をいかに活性化していくかという課題に関心がありました。新事業により全国各地の消費を促し、地域ひいては日本全体の経済発展に貢献したい。その思いを活かせそうだと思い、応募しました」(井ノ尾)

それぞれの動機は異なっていても「より良い世の中づくりのために何かしたい」という想いは共通だ。発足から1年弱が過ぎた現在、100名を超える組織規模に拡大。さまざまなサービスや製品開発を通じたイノベーションの発信拠点となっている。

STORY 02 STORY 02
STORY 02

地域に根ざした
事業基盤が可能にした
「子育て支援サービス」

コミュニティサポートインフラ構想に欠かせないのが「スマートホーム」事業だ。これは住まいをインターネットに接続し、より快適で安全・安心な暮らしを実現するというもので、中部電力でも数年前から取り組んできた。事業創造本部ではそれをさらに一歩前に進める形で、暮らしに欠かせない地域の総合プラットフォームを形成する多彩なサービス開発をミッションに掲げている。

たとえば「中部電力+Oh!(プラスオゥ)」という子育て支援サービスがある。これは家の中で留守番をする子どもの様子に加え、家の外にいる子供の居場所を勤務先からスマートフォンで確認できる「見守りサービス」と、緊急時の「駆けつけサービス」などをパッケージにしたもので、「家の中から家の外、困った時の駆けつけまで広範なエリアでの子育て支援」が大きな特徴となっている。中部電力が持つネットワークインフラと、地域社会からの信頼をなくして成し得ないサービスだ。しかし、何ぶん初めての取り組みで、サービス開発は苦労の連続だった。

「消費者のインサイトがまったく読めなかったため、複数のサービスアイデアをネット上で公開し、みなさまの反応を伺うことから始めました。その中で最も関心が高かったテーマが、働くママ・パパ向けの『子どもの見守り』でした。その後、インタビューを実施したところ、多くの保護者の方がお子さんについて『帰り道にいつどこを通っているのかわからない』『危ないことが起きた時にどうすればいいのかわからない』といった不安を抱えていることがわかりました。このサービスを実現できれば、こうした悩みを抱える子育て世代のお役に立てる。そう判断したのです。」(井ノ尾)

プロモーション方法も暗中模索だ。「私はサービスの企画・開発に加えサービスや製品をどこの誰にどう伝えれば効率的に拡販できるのかを考えるマーケティングも担当しています。仲間たちと『有名なインフルエンサーに依頼してみようか?』といったアイデアも出し合いながら議論を重ね、前例のないサービスをいかに分かりやすく、いかに魅力的に伝えるか試行錯誤している最中です。現在はクラウドファンディングを活用したプロモーション活動を展開するなど、他企業とのコミュニケーションが多く、面白い話があればどんどん飛びついていく感じですね」(多田)

若手の意見を尊重するフラットな組織風土をベースに、スモールスタートによる検証を重ね、機動的にPDCAを回していくことで、プロジェクトの完成を目指すという。

STORY 03 STORY 03
STORY 03

睡眠から
社会課題解決をめざす
「スリープテック」

もうひとつ、「スマートホーム」事業の事例を紹介しよう。近年、睡眠の質を高める製品やサービスを提供する「スリープテック」が世界中で盛り上がりを見せつつある。「家の中で過ごす時間の大半は睡眠時間」という観点から、中部電力も目をつけている分野だ。現代人の平均睡眠時間は年々減り続けており、健康上のリスクはもちろんのこと、睡眠不足が事故や過失につながることも多いと言われている。まさしく社会課題の一つだ。

人々の睡眠改善につながるサービスの第一弾として、「いびき軽減ソリューション」を開発中である。これは、サービスの核となる、枕の下に敷くタイプの「いびき防止デバイス」でいびきを検知・軽減しつつ、内蔵のセンサーで得られる睡眠データを収集し、将来的には医療機関との連携による診療サポートや、在宅療養者の見守りサービスなどへの展開につなげたいと考えている。人々の睡眠の改善によって個人の暮らしを豊かにすると同時に、集めたデータを地域社会にフィードバックすることで課題解決につなげていく、そんなロードマップを描いている。

新たなサービスの開発には専門的な知見が必要不可欠だ。プロジェクトの立ち上げ当初は、ヘルスケア領域のスタートアップを多数リストアップし、3ヶ月で約40社を訪問した。「社会課題を解決に導くようなイノベーションを起こすためには、その分野で最先端を走る企業とタッグを組む必要があります。国内外問わず熱い想いをもったスタートアップがたくさんあり、毎回かなり話は盛り上がりましたね」(上原)

その結果、「ここなら」と思える企業に出会った。スリープテックを手掛ける中国のスタートアップだ。それでは、一口に「睡眠」と言っても何に取り組むべきか?マーケティング調査や睡眠に悩みを抱える消費者へインタビューを重ねた結果、「いびき」に最もニーズがあることがわかった。そしてセンシング技術とエアバッグ制御による「いびき軽減ソリューション」の開発が始まった。

試行錯誤の日々。開発はそう簡単にうまくいくものではない。しかし、苦労話を語る目は生き生きとしていた。「最初は大変でしたが、試作品を展示会に出展したところ、多くの方から『面白いね』『いびきに悩んでいるのですぐにでも欲しい!』と感想をいただくなど評判は上々でした。新しいものはとにかく早く世に出して生の声を集め、その声からまたブラッシュアップをかけていく、そのサイクルをどんどん回していくことが重要だと改めて感じました。特に新規事業開発では、そういうスピード感が求められていると思います。それにしても、中国の企業と一緒に仕事をする日々が来るとは、入社前には想像もしませんでしたね(笑)」(篠田)

現在、「スリープテック」は一歩一歩目の前の課題を乗り越えていく段階。今後はさらなるサービスの機能向上を目指しつつ、パートナー事業者の開拓やビジネスモデルのブラッシュアップを経て、「睡眠」を入口に社会課題の解決を目指していく。

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STORY 04

来るべきスマート社会の
基盤となる
「情報銀行」

中部電力は、暮らし・産業・コミュミティをサポートするサービスについて「IoH」の視点で開発を進めている。これは「Internet of Human」の略で、IoTの先端技術の活用に際しても、常にヒトを中心にとらえ、「お客さま起点」のサービスを創出していく意識の表れともいえる。様々な情報を活用した事業も同様で、中部電力では、購買履歴や各種バイタル情報などのデータを活用したスマート社会においても、個人情報保護を第一に、利用者に分かりやすい同意取得や匿名化技術などにより、情報を提供する個人もそれを活用する事業者も、安心・安全に取り扱うことができる世界を目指している。前述の「スマートホーム」事業も、もちろんこの視点で開発を進めているが、このスマート社会の実現のカギを握るのが「情報銀行」だ。一人ひとりがユーザー登録し、パーソナルデータをこの銀行に預ける。そして、それぞれがデータの所有者として、自ら情報公開先を選択することで、生活の利便性向上や健康の増進など、ライフスタイルに適した各種サービスを受けることができるという仕組みだ。

たとえば、医療サービス。自らのパーソナルデータを、かかりつけ医、調剤薬局、救急医療機関、人間ドックの検診機関などで共有することができれば、利便性の向上や質の高い医療を受けることもできるようになる。政府は来るべきこの社会を「Society5.0」と呼び、次世代の社会基盤づくりのための重要施策に位置付けている。

「情報銀行」の実現・普及の最大の課題は「信用」だ。非常にセンシティブな個人情報は不確かな事業者には任せられない。中部電力の強みはここにある。長年にわたる電力インフラの運用で築いてきた地域のお客さまからの信頼や安心感ではどこにも負けない。このアドバンテージを活かし、個人情報保護を第一に、信頼に確実に応えられるシステムの構築を目指している。現在、プロジェクトメンバーは自治体や企業と連携し、安全・安心で誰でも参加しやすい「地域型データ流通基盤」の整備に奔走中だ。「今は豊田市とともに実証実験を行いながら、「地域型情報銀行」として活動するために(一社)日本IT団体連盟からの「情報銀行」認定取得を目指している真っ最中です※。正直なところまだお話しできることが少ないのですが、電気と同じように情報を当たり前に使う、そんな世の中を実現するための基礎づくりの時期ですね」(酒井)

※取材(2019年12月26日)時点。その後2020年2月5日に「情報銀行」認定を取得し、2020年2月17日に日本で初めてとなる「情報銀行」認定を取得したサービス「MINLY(マインリー)」の実証を開始することを発表している。
http://www.chuden.co.jp/corporate/publicity/pub_release/press/3272452_21432.html

まだ誰も見たことがない地域コミュニティをつくる、つまり、次世代のデファクトスタンダードとなるプラットフォームを生み出すという壮大な挑戦だ。その道は険しく、世界でも成功事例はまだない。しかし、プロジェクトメンバーの表情は皆明るい。今のこの活動が暮らしそのものを変え、数々の社会課題の解決に貢献し、5年後10年後の巨大市場の創造につながる。そんな未来を思い描いているからだろう。

※本文中の部署名などの表記は取材当時(2020年1月)のものです。

枕でどうやっていびきを防ぐ? 枕でどうやっていびきを防ぐ?
いびき軽減デバイスで
どうやっていびきを減らす?

いびきをかいている人を「とんとん」と叩くといびきが止まったりしますよね。これは神経に刺激を与えることで、弛緩していた筋肉が緊張して気道が広がるから。このデバイスは、枕の下に敷くタイプのもので、音と振動で寝ている人のいびきを検知すると、頭の位置に合わせてエアバッグを膨らませます。それによって頭を傾けて寝返りを促し、いびきを止めるというのがこのデバイスの仕組みです。